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京のお話

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市田ひろみさんの

京都論


第13回 手紙はどんどん書いたほうがいい

「字が下手ですし、気の利いた文章も苦手ですから、なにかいただいても、お礼状を書かなくてはいけないと思うと、それだけで気が重くなります。」

 日ごろから手紙を書き慣れていない人にとっては、たとえ葉書一通であっても、精神的な負担になってしまうようで一日一日と先延ばしにしているうちに、ついつい時期を逃して、とうとう書きそびれて、憂鬱になる・・・。  

 浅香光代さんは手紙の名人のような人です。 以前、「(舞台を観に)わざわざ来てくれてありがとう」という内容の手紙をいただいたことがあります。 見事な筆書きで、まるで書の作品のようでした。 公演中の忙しいとき、その合間をぬって、筆をとり、わざわざ速達で送ってくださったのです。 礼状にこめられた浅香さんの気持ちが、じゅうぶんすぎるほど伝わってきました。 

 しかし、浅香さんにしても最初から字や文章が上手だったわけではなく、独学で漢字を覚え、自分で毛筆の勉強をしたといいます。 立派はことではありませんか。字や文章に自信がないなら、自分で学べばいいのです。 あなたが何歳であっても、今から始めたとしても、決して遅くないと思います。 最初は字や文章が下手でも、形式に合っていなくてもいいと思います。 大事なのは気持ちを伝えることですから。

 そうとはわかっていても、いざペンをとると、どうしてもかたくなってしまい、手紙の例文集を丸写ししたような形式ばった手紙になってしまいます。 心のこもった自分流の自然な手紙というのは簡単そうで、実は難しいものです。  

 「ひろみ先生、おみやげありがとうございました。 ぼくはいつもうれしいです」「おさるのキーホルダーありがとうございます。 私は昨日、遠足でした。 滋賀県のガリバー少年村というところへ行きました」

 これは私のサロンのスタッフの子供たちからもらった手紙です。 まだ文字の書けない小さい子供は、絵を描いてくれました。子供たちは思い思いの言葉で書き、それを親がファックスで送ってくれたのです。 子供たちからの手紙は字の上手下手や手紙のマナーをこえ、心を動かします。

 私は上手下手にこだわらず、子供のころから手紙はどんどん書いたほうがいいと思います。 そうすれば大人になっても、構えずに自分らしい手紙を書けるようになるからです。

市田ひろみ著「ええ女の作法四十四の極意」より

今年もらった年賀状を思い出してみてください。 ちょっといびつだけれど個性的なものと、ワープロの字のみで当り障りの無い見本のような文のものと、果たしてどちらが心に留まりますか? 達筆すぎて何が書いてあるのか分からない、相手の立場と状況を無視したような手紙よりも、稚拙な字と文章でありながらもここぞという時には温かみのある手紙の方がもらって嬉しいですよね。 字を書くのが苦手な人は絵を主にすればいいし、絵を描くのはダメで・・・という人は気に入った絵柄のポストカードを選んだり、お気に入りの写真の裏に直接簡単なメッセージ等を書いたり。 時間がなければメールやファックスと、最近ではコミュニケーション手段が本当に豊富です。

しかし、各家庭に一台は電話が、学生の手に携帯電話が、そしてパソコンで世界が身近になっても手紙はまだまだすたれていません。 それは便箋や封筒、面白い切手やシールを選ぶ楽しみ、人によって様々な字の形と文体、ちょこっと添えられた絵の可愛らしさという手紙ならではのあらゆる気持ちの表現方法に魅力があるからなのでしょう。

 私も毛筆は苦手ですが、いつも自分らしい手紙を出すよう心がけています。 忙しい中でも良いアイデアを出して、心のこもった手紙をあの人に出してみませんか。

まとめ:e京都ねっと 小山



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