天神さん、弘法さん以外の蚤の市に行ってみたい。ということで、今回は知恩寺の手づくり市に決めた。
お金もないし、市なら冷やかしもまだし易いので気軽に楽しめるだろう。
門をくぐると、いきなりキムチの匂いがして驚いた。タッパーに山盛り入ったキ ムチも
きっと手づくりなのだろう。しかし臭いが気になるので、またの機会にすることにした。
アジア好きな私の友人はここのご近所の常連さん。この市の店のことはよく知っている。
その子に連れられ、まずはRejineへ。
刺繍の入ったミュールや財布、アオザイなど、女心をくすぐるようなカラフルな雑貨が
机の上に並べられている。店のお姉さんともすっかり顔馴染みの友人は、彼女のベトナム話で
盛り上がっていたので、私は変わった形のカップやコーヒーミルなどを手に取ったりしていた。
後でH.Pを見てみると、なかなか可愛いし、あのお姉さんが今度はどんな品物を仕入れてこられるのか楽しみになった。
彼女たちの話は尽きない。
そこで市を一周することにした。
野菜、クラフト工芸、アクセサリー、芸大生による陶芸作品、鞄、手編みの帽子。様々な品物が並んでいる。
広さもちょうどいいし、店の人とのやりとりも一興。デパートの店員相手とはまた違う、
くだけたトークが楽しめるのがいい。ここ の市での場所取りは自由になっていて、到着が早い者から順に店を広げるらしい。
Rejineのお姉さん曰く、この市は他と比べて居心地がいいという。
今日は何だか肌寒いなあと考えていると、さっきまで話し込んでいた友人達が豚汁を持ってやってきた。
おばちゃんがコンロで鍋を温めている。「ねぎもたっぷり入れや。」家で作った豚汁の味、
という素朴な味わいで、体が温まった。手づくりケーキやパンが多いのもここの特徴かもしれない。
おいしそうなシフォンケーキがラップに包まれて並んでいる。
友人がそれをちぎって口にほおばりながら、ゆっくりと歩く。
再び友人に連れられて行った先には、大学生くらいのお兄さんが折りたたみ椅子に腰掛けて
客を待っている様子。梅干しを売っていたのだ。ここの 梅干しは私の知り合いの中にも
リピーターが何人かいる。無銘のパックに入った梅干しは、甘いものと普通のものが用意されていて、
試食もどんどんすすめて くれる。お兄さんの実家で作られているそうだ。
最初私は「梅干しなんて買う予定はない」からと、試食する友人たちの反応を伺っていたが、
皆がおいしい、おいしいと言って次々を買っていくのを見てついつい5個入りを購入してしまった。
お兄さんは、手づかみいっぱいの試食用梅干しをビニールの袋に一緒 に入れてくれた。
まさか本日最初の買い物が梅干しになるとは・・・。
しかしわが家でのこの梅干しの評判は、旨くて安い、となかなか良かった。
鞄屋さんで友人が黒のスポーツバッグを購入。プラダのそれと、どことなく似ている鞄だ。
ちょっとした用事に行くとき用や、旅行の際のサブバッ グを買うのに丁度いいくらいの安さだ。
売られている鞄のイメージと店のおじさんの雰囲気とのギャップが面白い。
私が着物の切地などを見にぶらぶらしていると、プラスチックの筒の中に入った、
白地にベビーピンクの花びらを刺繍した可愛らしい半襟が売られていた。
普通1000円以上はして当たり前なのに800円。
「もう処分してしまいたいから。」だと店のおじさん。今のところ半襟など要らなかったのだが、
柄が上品で綺麗なので、いずれ切ったりしてなにかに使えるかもしれないと思い、2本買った。
おじさんが一本600円にまけてくれた。
まあ、これくらいの値段なら買って後悔するほどでもないだろう。
後で母から聞いたことだが、最近は京都の呉服屋の倒産が相次いでいるので、
そこの品物が安価でこのような蚤の市に流れてくる可能性があるという。
複雑な気分だが、着物好きな人、学生さんには 耳寄りな話かもしれない。
知恩寺を後にするとき、そこには「今度はなにか面白い器でもみたいな。」とか
「常連になって店の人ともっと会話を楽しみたい」とか次回の手づくり市を楽しみにしている自分がいた。
今日はちょっと寒空の下だったので、今度来るときはもう少し暖かくなってからのんびり、ゆっくり見てまわろう。
そのまま近くのシサム工房へと足を運 んだ。
エスニック好きな学生さんたち(京大が近いので)が立ち寄りそうな佇まいで、今度はキムチではなく、
お香の濃厚な香りと沖縄民謡らしき音楽が私た ちを包み込んで迎え入れた。
こういう店はなぜかきまって照明が薄暗い。
香辛料や鍋、クッション、などの日用品からレターセット、シルバーアクセサリー、衣料品、インテリア、
楽器まで揃えてある。
以前来たときよりも店が拡張されているので、なかなか人気があるのではないだろうか。
友人はお香や指 輪を選んでいる。子供が描いたような動物柄の小銭入れがお気に召したようだ。
私はシルクのスカーフに惹かれていたのだが、結局押し花を施したハート型 の和紙ボックス(ピアスなどを
入れるのに良さそうなので)を妹へのお土産にした。他の友人はなにやら怪しげなおつまみの袋を眺めていた。
夕方まで百万編辺りをうろうろしていたが、この界隈は生活に必要な店たちがぎゅっとつまったような、
便利な学生の町といった印象だった。
古本屋 をいくつか見かけたので、次回の手づくり市までのお楽しみにしておくことにする。