四条河原町を一筋上がって東へ。河原町と木屋町の間あたりのほの暗い路地に
「汁」と書かれたのれんがはためく古風な建物がある。
隣には「勤王の志士 古高俊太郎邸跡」と刻まれた石碑がひっそりとただずんでいる。
ここが利休弁当やみそ汁で有名な「志る幸」。薪炭商・升屋喜右衛門宅跡である。
池田屋事件はここから始まった。
元治元年6月5日早朝、新選組隊士が西木屋町の升屋に乗り込み、
以前から怪しい動きのあった主人の喜右衛門を捕縛し、壬生の屯所に連行した。
前川邸の土蔵で升屋の取り調べが行われたが、「本名は古高俊太郎」と名乗るのみで
なかなか口が堅い。たまりかねた土方歳三が五寸釘責めの拷問にかけたところ、
古高は恐るべき計画を白状した。「風の強い日に京都市内に火を放ち、御所を焼く。
混乱に乗じ天皇を連れ出し、長州に送る。松平容保や佐幕派の公卿も襲う。」と。
升屋内の探索の結果、具足、槍、木砲、弓矢、火薬など大量の武器が押収され、
計画が着々と進行していることを物語っていた。危機を感じた新選組は
陰謀を企てていた古高の仲間の志士達の探索に立ち上がった。
古高俊太郎(升屋)邸跡・志る幸ののれんをくぐると、タイムスリップしたような気分になった。
木の番台や招き猫、だるま、木札のお品書き。
京都市が発行した「古高俊太郎邸跡」という案内札も黒ずんでいてだいぶ年期が入っている。
案内された席はぎぼしが付いた机だった。
「あちらが三条大橋、こちらが五条大橋を表しているんです。」というお店の方に
「この建物はいつごろ建てられたんですか?古高俊太郎さんのさんの家だったそうですが?」
と聞いてみると、「うちは昭和7年の創業で、幕末当時のものは何も残ってへんのどす。」とのこと。
ちょっと残念・・・。
名物は利久弁当(\2600-)。
扇形のかやくごはんに半熟のゆで卵、かしわと魚の焼き物、蕗の煮物、香の物に
ほんのり甘い白味噌汁が付く。みそ汁(\500~)は単品でも注文できて、
赤白好みの味噌と蛤、鯛、ゆば、なめこなど、具が選べる。京都らしい上品な薄味だ。
親子丼(\900-)たいめし丼(\1500-)など丼物も絶品!
住所:京都市下京区西木屋町通四条上る西
TEL:075-221-3250
営業時間:11:30~21:00
定休日:水曜日