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京のお話

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田邊扶仁子さんの

京のしきたり


第10回 お正月

ここからは、盆暮れお正月など、四季おりおりのしきたりについて書いていきたいと思います。

 まずはお正月から。 私が田辺に来て一番ビックリしたこと、それは「女の人は元旦何もしなくてもいい」ということ。『聞き書 京都の食事』という本には、「三が日の雑煮炊きは、前夜主婦の手で準備された材料を使ってその家の旦那さまが煮あげ、まず神棚に供え、(この神棚に供えた終えたお供えものは、その後畑で燃やされます。著者注)その後、家族を呼んで膳につく。」と書いてあります。 この本に書いてあるとおり、田辺では、お雑煮の用意は男の人が朝早く起きてします。 勿論元旦は洗濯もしません。 (そのために前日の夜に洗濯を済ませておかなくてはいけないのですが・・・・)本当に何も働かなくてもいいのです。

「掃除、洗濯を元旦にすると、女の人はそれに一年中、追い回されるようになるから、やめておきましょう」という風習は昔から全国的に伝わっているはずなのですが、周りの人に聞いてもそれを実行している人は、私を含めて2人だけでした。(昔の方が女の人をいたわっていたと思うのは私だけでしょうか?)お風呂も元旦は女の人は入っては行けないそうですが、私の家では入ります

 さて、男の人が作るお雑煮ですが、京都では、正式には3が日使うお味噌の種類を変えるそうですが、我が家では3日とも同じ普通のお味噌で作ります。 中には、頭芋(サトイモ)、祝い大根、金時人参、そして焼いたおもちを入れます。 『伝えたい田辺の味』によるとこの中身に入れる材料には、「人の頭になるようにカシライモを切らずに入れる。 家庭円満の願いを込めて細いダイコンを切り口が丸くなるように切る。」という意味があるそうです。 ちなみにカシライモとは、普通の里芋と違って、ねっとりとした甘みがあります。 又、カシライモは一家の長が食べると決まっているというお宅がありました。 同じく『伝えたい田辺の味』によると「この1年間がマメに過ごせるように、豆木を燃やして炊き上げたが今ではそんな家はほんのわずかになった」とも書いてあります。 私の近所に住む方でお一人だけ「雑煮を作るときは必ず男の人に火をつけてもらう」という方がいらっしゃいました。

 さて、お雑煮をいただく時、我が家では、鰹節を上からかけていただきます。 これが、美味しい。 中に入れる雑煮の材料はすべて畑から取れたもので、実は御節に使う材料も野菜は全て畑で取れたものだったり、親戚の方からいただいたもので作ります。 (「堀川ごぼう」だけは畑では取れないので、毎年親戚からいただくと決まっています。 何でもごぼうを作ってはいけないという亡き祖父の言い伝えがあるからだそうです。 「堀川ごぼう」とは、普通のごぼうよりも一回りも二周りも太く、そのためか中は空洞で肉質は粗い目をしています)御節の中身ってその季節に取れる野菜を中心に作られていたんだとここに来て、始めて知りました。

 私は田辺に来てはじめて「棒だら」というものをいただきました。 「棒だら」というのは、干した棒たらをそのままでは固くてとても食べられないので、3日ほど水につけ、(この水は毎日取り替えます。)柔らかくなったものをぶつきりにして甘辛く煮付けたものです。 又、この煮汁で里芋を炊く料理を「いもぼう」というのですが、これがまた最高においしい。 里芋はあまり好きな食べ物ではないのですが、この「いもぼう」だけは、大晦日の夜にしか食べられないごちそうだと私は思っています。




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