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市田先生は、ある会社の秘書として社会人生活をスタートされました。 以来、映画界や美容室、大学など、様々なところでご活躍されています。 そんな先生から仕事のコツを教えて頂きましょう。
どんな雑用でも工夫ができるかどうか
上司の仕事がいかにスムーズに運ぶかサポートするのが、秘書の仕事。 秘書の仕事のひとつに年賀状書きがありました。 上司にかわって、お得意様に出す年賀状の宛て名を書くのです。 年が明けて、届いた年賀状を確認していた部長から、「どうや、山田さんに年賀状書いてくれたか?」と聞かれました。 その時、私は「××設計事務所の山田○男様ですね。はい、お出ししました」と即座に答えたのです。 その後も上司からお得意様の苗字を聞かれたら、その人のフルネームと会社名まで答えることができました。 (なんて頭のええ子や)と上司は思ったかどうか・・・。 いずれにしても、この年賀状の件を境に私は「あの子に聞けば、大丈夫」といった信頼を得ることができました。
別に記憶力がいいからではなく、年賀状の宛て名を書くときに書きっぱなしにせず、住所や会社名や氏名を丁寧に見直していたのです。 年賀状の宛て名書きのような単純作業を面倒がり、ささっと書いて、そのまま出してしまう人もいます。 しかし、そういう仕事のやり方をしていると、住所のビル名を書き忘れたり、名前を間違えたりといったミスをしてしまいますし、いつまで経ってもお得意様の名前を覚えられません。 どんな雑用でも工夫の余地がありますし、またそれができるかどうかが大事なのです。
例えば、封筒の宛て名を書くのなら、住所をどんな配列で書くと、名前に消印がかからないか、カーボン紙つきの出金伝票を書くときは、筆圧を強くして書かないといけない、ファックスが届いたら、相手が読みやすいように、順番をそろえてから渡す・・・。 そういうちょっとした工夫ができるかどうかで、(あの子は仕事ができる)と周りに思わせることができるのです。
学生時代、アルバイトで京都市議会議員選挙のお手伝いをしたことがあります。 いわゆるウグイス嬢です。ウグイス嬢のアルバイトは私のほかにも何人かいて、交代で選挙カーに乗り、同じ原稿をマイクで読み上げていました。 その原稿には固有名詞や政治用語など、読みにくい漢字があったので、誰に頼まれたというわけでもなかったのですが、選挙事務所の人に読み方を聞いて、ルビを振っておいたのです。
その後、その候補者はめでたく当選しました。 そのお祝いの会のあとで「あの原稿にルビを振ったのは誰や?」という話になり、それが私だとわかると、市議から「大したもんや」とほめられたのです。 なんでも、私がルビを振ってからというもの、ほかの学生のアルバイトたちも原稿の途中でつかえることなく、すらすらと読み上げることができるようになったとのこと。 同じことを思いついた人は、ほかにもいたとは思いますが、それを実行するかしないかが、あとで大きな差になるということを、この時に思い知らされました。
「人と同じことをしてたらあかん。」
この父の教えは社会に出て、年齢を重ねるごとに、身をもって感じられるようになりました。 市田ひろみという一本の木がたくさんの枝を茂らせ、葉っぱをつけるように仕事を広げられたのは、この教えのおかげだと思っています。
市田ひろみ著「ええ女の作法四十四の極意」より
いつも心に「+α(プラスアルファ―)」の工夫を忘れないことが大切なのですね。
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