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京のお話

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市田ひろみさんの

京都論


第30回 「まあまあどす」の威力

伝統工芸品や美術品などの付加価値の高いものを売り物にしている京都は、景気の波もかぶりやすい都市ですが、そんな舞台裏はけっして見せることはありません。 どっさり売れても舞い上がらないし、売れなくてもあわてない。 心の中では「えらいこっちゃ」ですが、ポーカーフェイスで通してしまいます。 「どうどすか」と聞かれても「おかげさんで、まあまあどす」という返事。 こんな挨拶の風景は、景気が良くても悪くてもかわりありません。  

 景気がめちゃくちゃいいときに「えらいもうかりましたわ」といえば、悪いときには「いやぁ、しんどいですなあ」といわなくてはなりません。 うれしがって、「今期はなんパーセントアップですわ」などと言おうものなら、悪いときはたいへんです。 「まあまあどす」といっておけば、なにがあっても「まあまあどす」で通せるというわけです。倒産寸前でも「まあまあどす」といっておけば、金融機関もなんとなく安心してお金を貸すかもしれません。少なくとも景気がいいの悪いのとバタバタした姿を見せないないようにすれば、周囲の人を必要以上に不安がらせることもなく、落ち着いて対処ができます。

 もともと採算などとは無縁な伝統工芸の世界では、この不景気でさぞかし痛手をうけていると思いますが、バブルのころはたしかに高価な品物もよく売れました。 日本の経済がおかしな方向にふくらんでしまって、お金をため込んでいた人びとが、こぞって美術・工芸品を買いに走ったのです。そんなバブルなときでも、京都の人は「まあまあどす」ですましてきたのです。

市田ひろみ著『ええ女の作法 四十四の極意』より

謙遜か、はたまたプライドの高さから来る見栄なのか。一見クールな京都人に本音を聞くのは難しいかも!?

まとめ:e京都ねっと 小山



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