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三味線の会や踊りの会などでそのできばえが素晴らしかったとき、京都の人はにっこり笑って、「まあ、おみごと」。 この言葉は「感心しました」という相手への敬意がこめられた最高の賛辞なのです。
それよりは劣るけれど、やはりいいできばえのときは、「あぁ、よろしおすな」となります。 その下になると、「まあまあどすな」。 人から「まあまあどすな」と評されたら、関東の人は「自分は平均点かな」と思うようです。 「まあ、いいんじゃないの」と解釈するのでしょう。
しかし、京都で「まあまあどすな」と評されたら、それは平均点より劣るという意味です。 学校の成績の「優」「良」「可」「不可」の四段階評価にたとえたら、「まあまあどすな」はぎりぎり及第点の「可」。 つまり、「もっと勉強おしやす」という意味なのです。
さらに、その下は「もうひとつどすな」といいます。 これは四段階評価でいえば、赤点の「不可」ですから、もう一度しっかり勉強をやり直しなさいという意味です。 しかし、「あかん」というストレートな表現と比べたら、「もうひとつどすな」には励ますような優しい響きがあります。
京都の人は人を悪く言うときでも、ダイレクトにはいいません。 例えば、「私、あの人が嫌いやねん」といいたいときには、「私、あの人が好きやないねん」とやんわりいいます。 意味は同じですが、ニュアンスが違います。 感情をあらわにしないさりげない表現のほうが、大げさな表現より相手の信頼を得られ、効果があるのです。
さりげなくほめ、さりげなく伝える、相手の真意を察し合う京風のコミュニケーションは、大人のコミュニケーションでもあります。
大人になると、あまりストレートにものをいわないものです。 人は面と向かって厳しいことは言わなくなり、婉曲表現がふえていきます。 それは人間関係を円滑にするコツでもあるのです。 しかし、耳に優しい相手の言葉に甘えず、自分自身について反省を忘れないことは、大人のたしなみでもあるのです。
市田ひろみ著「ええ女の作法四十四の極意」より
大人社会の会話を京都弁に直すと、京風のコミュニケーションに近くなる様です。自分の仕事を周りの人に評価してもらう時はどきどきしますね。「まあ、いいんちゃう?」と言われたら、一時はほっとしますが、「本当はもう一つ工夫しないといけないのかな」と考えてみる事も大事なんですね。
皆さんにとって、私のコラムは京風でどのくらいですか?
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