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京のお話

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茶の湯入門
第2回【茶の湯入門あれこれ】

お抹茶が好きでただ飲みたいだけならお稽古に通う必要はないが、文化として茶道に親しみたいと考えるのなら、先生についてお稽古をしたほうがよい。 人によってお茶の道に入るやり方はいろいろあるだろう。 いきなり先生につくのはちょっと、という方はカルチャーセンターが便利だ。 お茶が好きになるに従って、もっと深く学びたくなって先生につく、というのが一般的だ。 また、学校や企業の茶道部からお茶の世界に入ってくる人も多い。

 自分がお茶の世界に入って初めてわかったのだが、お茶の先生に紹介していただく、ということがどれほどのことか当時はよく分かっていなかった。 誰かに誰かを紹介する、という行為には、責任が伴う。 先生と私を引き合わせ、間を取り持ってくれる、いってみればお仲人さんのようなものなのだ。

 もし私が迷惑ばかりかける生徒だったら?すぐにけんかして辞めてしまったら? 紹介してくれた人は、先生に対して申し訳なく思うだろう。 先生の方も、見ず知らずの人間を一人預かることについては紹介者を信用するしかないので、何か問題が起きた場合紹介者は信用を落としてしまう。 それだけのリスクを負うことになるので、おいそれと知らない人間を紹介することはできないのだ。

 京都に来て間もなく、知り合いがそう多くなかった当時の私に、知人のお母様が救いの手を差し伸べてくれたのはラッキーだった。 人の好意の重さが、お茶を始める前よりよく分かるようになったのは、このことがあったからだ。 礼儀作法も何も解らない私に、具体的に<束脩>と書いた奉書の封筒に、これこれの金額と自分の連絡先を書いた紙を入れて、この大きさの菓子折りにのせて風呂敷に包んで持っていきましょう、と指示してもらったのだ。 そうして付き添われて、初めて先生にご挨拶をした。 お行儀もよく出来ない、人見知りする、襖の開け閉ても知らない、正座も苦手、そんな私を先生と社中の先輩たちは、暖かく受け入れてくれて、一からお稽古は始まった。

普段松村栄子著「ひよっこ茶人の玉手箱」マガジンハウスより

まとめ:CyberDecker田村敦美

松本栄子

1961年静岡県生まれ。筑波大学第二学群比較文化学類卒業。 90年「僕はかぐや姫」で海燕新人文学賞、92年「至高聖所」で芥川賞を受賞。 主な著書に「僕はかぐや姫」「至高聖所」「セラヴィ」「あの空の色」「001にやさしいゆりかご」「生誕」などがある。

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