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京のお話

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お茶屋入門
〜舞妓さん独占インタビューその1〜

瓢亭(ひょうてい)の広いお座敷でそわそわしていると、宮川町のお茶屋『駒屋』の女将さんに続いて二人の舞妓さんが登場しました。 その場が一気に華やぎます。 座敷にいた人々の言葉にならない、呼吸の歓声を感じる瞬間でした。
 舞妓さんのうちの一人は駒屋のとし美ちゃん。もう一人は舞妓になって約4ヶ月という新人さんで、名前は「女将さんに聞かな分からへん。」ということで仮に

「Hさん」としておきます。 とし美ちゃんとは以前お茶の稽古で知り合ったのですが彼女の仕事が忙しくなっていったので(彼女がお稽古嫌いというのもあって)、今回久々の再会を果たすことができたのです。

 彼女はもう新米舞妓を連れている先輩だというのに、おろおろと相変わらず緊張してぎこちない様子。 「ああ、変わってなくてよかった。」と微笑ましく思いながら、彼女たちが二手に別れて客人に酒を順に注いでくれるのを待ちました。 周りの人たちも興奮気味です。 私の近くに来て目が合った瞬間、「おねえさーん。」と、とし美ちゃんが手を振ってくれました。 まるで少女のような可愛らしさ。
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そこが舞妓さんの魅力なのかもしれません。
 杯に酒を注ぐ彼女の顔は以前よりもきれいにおしろいが塗られ、伏せた目に赤いラインが映えています。

「前よりお化粧が上手になったね。」と言うと、「そうどすか?おおきに〜。」と、か細い声で恥ずかしそうに微笑むとし美ちゃん。 ひとつ間違えればババくさくなってしまう京都弁でも、舞妓さんの小鳥のような声で言われると、とてもはんなりとした気持ちになります。

 二十歳になったという彼女に成人式はどうしたのか尋ねますと、「仕事で行けなかったんどす〜。おねえさんと同じ黒の振袖買ったのに着られないんどす・・・。」と残念そう。 その代わりにお盆に自分の成人式をするとのこと。 毎日着物に袖を通していても、特別な日にはやっぱり振袖を着たくなるようです。

 成人した彼女は襟変え(舞妓が芸妓になること)も近づき、舞妓でいられる時間は少なくなってきました。 今後の進路は、と聞くと、芸妓になるか絵の専門学校に行くかで迷っているようでした。 しかし舞妓さんにしては稽古嫌いという致命的な性分で、しかも仕事も忙しいのに果たしてデッサンなどの受験勉強をこなすことはできるんだろうか、と要らぬ心配をしてみたり・・・。 舞妓さんの数が減ってきているという世の中、芸妓さんになる子が更に減少してしまうのは残念なことですが、彼女の人生は彼女のもの。 口出しするのも良くないし、他の客が待っている所でそこまで込み入った話をするのははばかれるので、その話はひとまずおあずけにしておくことにしました。

 季節によって変わる花かんざし、白い陶器のようなうなじ。 だらりと鮮やかな模様をあらわにする帯。

ふわり、ふわりとした立ち振る舞い。 華やかな舞妓さんの姿はどこから見ても絵になります。 隣に移り、酒をすすめる彼女たちにカメラを向けると、しっかりこっちを向いてカメラ目線になるのが面白かったです。 さすが、鑑賞される側のプロ・・・。

* 男性客から逆に酒をすすめられたとし美ちゃんは、どうやらよっぽど笑いのツボにはまる事でもあったらしく、「涙が出てきちゃって、どうしよう〜。」とハンカチで顔を隠していました。

何年たっても彼女らしい愛らしさが残っていました。




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