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【第29回 バッグは自分のライフスタイルとその日の目的に合わせて 〜きものとルイ・ヴィトンのバッグ〜】

市田ひろみさんの

第29回 バッグはライフスタイルとその日の目的に合わせて 〜きものとルイ・ヴィトンのバッグ〜

私がはじめてヨーロッパを旅行したのは、昭和43年のことでした。
40日間かけて、各国を回り、最後の滞在先のパリで私は(自分のためのお土産に
ハンドバッグを買おう)と思い立ちました。
 


パリで私がお世話になっていた画家の奥様に相談すると、
奥様は「歴史的なお店に連れていってあげるわ」といって、私をルイ・ヴィトンの本店に
案内してくださいました。今でこそ高校生の女の子も持っていますが、その当時の日本では
ヴィトンのバッグなど誰も知りません。あのLとVの頭文字を組み合わせた柄のバッグが、
ずらりと並ぶ店に入って、(なに、これ?いや、かなわんなぁ・・・。どうしよう?)と
とまどいました。消極的な気持ちになっている私をよそに、奥様は「欧米の名門の人たちは
旅行するときにこの店のバッグをそろえるのよ。
使う人が誇りが持てるバッグなの」
と 説明してくださいます。


パリで10日間ほどお世話になった方の親切なアドバイスです。この期に及んで、
「こんなのいらない」というわけにもいかず、私は持っていたお金でヴィトンのバッグを
ひとつ買いました。今では色や柄、デザインの凝ったハンドバッグが当たり前のように楽しめます。
自分のライフスタイルに合わせて、豊富なバリエーションから自由にバッグを選べるようになったのは、
日本の洋装ファッションが成熟した証拠
でしょ う。


はじめは使いようがわからなかった私のヴィトンのバッグも、どんどん数をふやし、
活躍の場を広げていきました。愛用の大きな旅行鞄はどこへ行くときで も私といっしょです。
洋装はもちろん、きものを着ても持っていきます。使い勝手がいいからです。
「きものにはもっと小さいのを持ったほうがいい。そんなのおかしい」といてくれる
友人もいますが、私はいまだにきもの姿でヴィトンを持って、飛行機や新幹線に乗っています。


きものは私にとって単なるおしゃれではなく、仕事の一部。きものを着て出かけるといっても、
それは私の出張で、ヴィトンの旅行鞄の中身はスケジュール帳や資料などがほとんど。
つまり、あの鞄は私にとって移動中の事務机なのです。
ですから、仕事以外の外出、 例えば結婚式で留袖を着たり、パーティーで訪問着を着たり
するときには、この事務机バッグは持ち歩きません。


バッグは固定観念にとらわれず、自分のライフスタイルとその目的に合わせて
自由に選ぶというのが、ほんとうの意味でのおしゃれではないかと思います。



市田ひろみ著『ええ女の作法 四十四の極意』より


鞄には、持つ人が自分をどう評価しているかが現れている」という
言葉を聞いたことがあります。その時、その時の目 的やシチュエーションに応じて、
適切でセンスのいいバッグを選べるようになりたいですね。

まとめ:e京都ねっと 小山


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